相続

相続は「お金」より「感情」で揉めます

「うちは財産がそんなに多くないから、相続でもめることはないですよ。」

相続のご相談を受けていると、本当によく聞く言葉です。
ですが実際には、相続トラブルは“資産家だけの問題”ではありません。

むしろ、財産額がそこまで大きくないご家庭ほど、感情のぶつかり合いが深刻になるケースも少なくありません。

相続でもめる原因は、実は「お金」そのものではないからです。

 

「不公平感」が火種になる

例えばこんなケースがあります。

長男だけが親と同居して介護をしていた
特定の子どもだけが生前に援助を受けていた
親の面倒を見ていた人と、ほとんど関わらなかった人がいる
「昔から兄ばかり優遇されていた」と感じている

こうした“長年積み重なった感情”が、相続をきっかけに一気に表面化します。

つまり争っているのは、通帳の残高だけではありません。

「自分は認められていたのか」
「親は自分をどう思っていたのか」
「なぜ自分だけ苦労したのか」

そんな人生の感情が、相続の場で噴き出すのです。

相続は、ときに“家族の通知表”のような顔を見せます。
静かだった食卓の下から、何十年物のマグマが突然ゴボッと顔を出すこともあります。

 

「仲の良い家族」ほど危ないこともある

意外かもしれませんが、

「うちは家族仲がいいから大丈夫」

というご家庭ほど、事前準備をしていないことがあります。

そして、親が亡くなったあとに初めて、

財産内容を誰も知らない
遺言書がない
名義が整理されていない
不動産をどう分けるか決まらない

という問題が一気に出てきます。

すると、それまで穏やかだった兄弟関係が少しずつギクシャクし始めます。

最初は遠慮気味だった会話も、気づけば

「それは不公平じゃない?」
「なんで勝手に決めるの?」

という空気になっていく。

相続の怖いところは、“悪人がいないのに揉める”ことです。

全員が「自分は正しい」と思っている。
だからこそ難しいのです。

 

本当に大切なのは「想いを残すこと」

相続対策というと、

節税
不動産活用
生前贈与

などに目が向きがちです。

もちろんそれも大切です。
ですが、本当に重要なのは「家族が納得できる状態を作ること」だと感じます。

例えば、

なぜその分け方にしたのか
誰に何を託したいのか
どんな想いがあるのか

これを生前に少しでも伝えているだけで、相続後の空気は大きく変わります。

遺言書は、財産分配の書類でもありますが、最後の“家族への手紙”でもあります。 

 

相続対策は、「元気な今」だからできる

相続の話は、どうしても後回しにされがちです。

「まだ早い」
「縁起でもない」

そう思う気持ちも自然です。

ですが、実際には“何も起きていない今”こそ、もっとも冷静に話し合えるタイミングです。

トラブルが起きてからでは、感情は簡単には整理できません。

だからこそ相続対策は、
「財産を守るため」だけではなく、
「家族関係を守るため」に行うものだと思います。

相続は、お金の問題に見えて、実は“人の心”の問題です。

そしてその準備は、家族への優しさでもあるのかもしれません。

 

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